「超」入門 失敗の本質 鈴木博毅 著 ダイヤモンド社

「超」入門 失敗の本質 鈴木博毅 著 ダイヤモンド社

著者の鈴木宏樹さんは1972年慶応大学総合政策学部卒でビジネス戦略や組織論の専門家、マーケティングコンサルタントとして活躍されている方です。
著書に「ガンダムが教えてくれたこと」「シャアに学ぶ逆境に勝つ仕事術」などがあります。

この本は、名著「失敗の本質」を現代日本の問題と重ね合わせて、23 のポイント、7 つの視点からダイジェスト的に書かれた本です。

「失敗の本質」というのは、大東亜戦争における日本軍の組織的な失敗を分析した著書で、なぜ開戦に至ったかではなく、開戦後の日本の作戦における「戦い方」を対象に、組織としての日本軍の失敗を研究したものです。

その考察は現代日本の組織にとっても教訓となることが多いということで、1984 年に発行されて以来、長く読みつがれている名著です。

本書を読んで、私が、キラーワード、キラーフレーズコンテンツだなと思ったものを5つ紹介します

1. 同じ指標ばかり追いかけると敗北する

私たちは体験的学習や偶然によって、様々な指標(戦略)を経験的に学ぶわけですが、それに固執すると、いずれは新しい指標(戦略)に敗れてしまうということです。

日本軍は日露戦争の艦隊決戦で大勝利を掴みます。その成功体験が戦艦大和や武蔵という巨大戦艦を建造し、艦隊決戦至上主義に走り、失敗してしまいました。

2. ゲームのルールを変えたものだけが勝つ

これは IBM のサミュエル・パルミサーノ会長が使った言葉だそうです。
日本軍は戦場において戦い方のルールを変えられてしまい、自らの強みを封じられて、米軍に圧倒されていったわけです。
欧米人は得意ですよね。それに翻弄されてしまう、ということです。

3. イノベーション創造の3ステップ

アップルの創業者として有名なスティーブ・ジョブズの様々なイノベーションも、この3ステップに当てはまるのだそうです。

ステップ1は、現在の戦場の勝敗を支配している既存の指標を発見すること。日本軍の中にも先見性の高い人がいまして、米国の鉄の生産量のデータから、物量作戦では絶対にかなわないことを見出した人もいました。

ステップ2は、敵が使いこなしている指標を無効化すること。先の例でいけば、物量でかなわないのであれば、真正面から戦うのではなく、ゲリラ戦をやる、ということです。実際、日本軍も、硫黄島や沖縄での戦いでは、物量的に圧倒的に不利な状況下でゲリラ的に戦い、米軍を手こずらせました。

ステップ3は、支配的だった指標を凌駕する新たな指標で戦うということ。スティーブ・ジョブズ率いるアップル社の成功は、製品スペックという指標を捨てて、iPod とiTunesを組み合わせたビジネスモデルにしたこと。今日、世界を席巻しているGAFA(グーグル、アマゾン、フェースブック、アップル)のビジネスモデルは、すべてプラットフォーム・ビジネスです。アップルのスティーブ・ジョブズはいち早くこれに気づいて実行した、ということですね。

4. 平和時の日本軍人

平和時の日本軍人がどうだったかという指摘が「失敗の本質」に次のように書かれているそうです。

日本軍人は平和な時には思索せず、読書せず、上級者となるに従って反駁する人もなく、批判を受ける機会もなく、式場の御神体となり、権威の偶像となって、温室の裡に保護された。

これは、大東亜戦争前の日本軍人だけではなく、現代日本のどこかの組織のエライ人達と同じなのではないでしょうか。

この文言を反転させてみましょう。すると、すばらしいリーダー像が浮かび上がってきます。

思索を行い、読書をして、上級者となっても反駁する人がおり、批判を受ける機会を常に持ち、式場の御神体とならず、権威の偶像ともならず、風雨の激しい現場に駆り出される。

このようなリーダーもしくは経営者が率いる組織は、より安定し、より発展するのではないでしょうか。

5. 空気の正体を理解して、それを打ち破る知恵を持ちましょう

「空気を読め」という言葉に代表されるように、日本人は空気を大事にします。この「空気」で、日本軍は失敗したわけです。

戦艦大和が沖縄特攻に参加する作戦がたてられました。戦闘機の護衛なしでは、いかに無敵戦艦であろうとも勝てないというのは、レイテ沖開戦で明らかになっていましたから、長官は当然のごとく反対します。しかし参謀は、兵士が犠牲になっても大和の特攻で日本の精神を見せるべきという軍部の「空気」を主張して押し切ってしまうのです。日本の精神性を示す以外にも検討すべき事項があるにもかかわらず

日本人の「空気」好きは、今のSNS上でさかんに繰り返されている炎上騒ぎの一因ではないかと思います。いろいろな側面から物事をとらえないといけないのに、ある1面だけ見て、それがもっともらしい内容やエモーショナルな内容であればあるほど、そちら側の主張に全員が乗っかってしまい、反論を唱えたものを攻撃する。

物事には様々な可能性があるということ。それを「空気」というものが、他の選択肢を選ぶことを許さず、捨てさせてしまう。

賢明な私たちは、この「空気」の正体を理解し、それを打ち破る知恵を持ちましょう。

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